予防接種ラッシュ

生後2ヶ月から半年近くは予防接種ラッシュです。毎月子どもを連れてクリニックに行き、長い待ち時間を経て診察室に入り、先生にぷすっと注射を打ってもらいます。ぎゃーん!!と泣きわめく娘をあやしながら待合室に戻り、来月の予約を入れ、副反応が出ないか見守って…予防接種の日は大忙しです。

 

今の子どもは本当に予防接種の数が多くて、保健所から渡されたリストを見たときは目が点になってしまいました。任意のものも含めたら延べで20数回ぷすぷすするようです。なんと手厚い。風疹が流行するたびに冷や冷やする私たち世代とは大違いです。

 

泣き疲れて寝てしまった娘を抱いての帰り道、世界のワクチン事情についてつらつらと考えました。この子はありがたいことにこうして無料でたくさん打ってもらえるけど、そうでない国も数多あるんだよな、と。ワクチンが打てなくて結核や麻疹で苦しむ子がいて、その子を前に悲痛な思いをしている母親がいる。私とそのお母さん、我が子を大事に思う気持ちに変わりはないのに。恥ずかしながら、生まれて初めてワクチン募金について真剣に考えました。

 

帰宅後すっきり目覚めた娘は、先ほどの涙をすっかり忘れたようでボールのおもちゃを抱えて遊び出しました。熱も出なくて一安心です。さて、来月は4種混合か。

 

紅茶の記憶

キャンベルズ・パーフェクトティーというお茶があります。紅色の鮮やかな、アイルランド生まれの素朴なお茶です。今朝この紅茶でミルクティーを飲みながら、あるお店のことを思い出しました。

 

京都に住んでいたときに近所のカフェに通っていました。どれくらい行きつけていたかというと、多い時で週に5回。仕事帰りにお茶に寄ったり、休日にモーニングを食べてそのまま持参したパソコンで語学学校の課題を片付け、更にそのままそランチになだれこんだりしていました。

 

店主は私より少し年上の女性。落ち着いたお店の雰囲気を体現したような、控えめで優しいお姉さんでした。私が膝掛けを出したら、何も言わずにそっと暖房のスイッチを入れてくれるような人です。

 

通ううちに段々二人でおしゃべりをするようになりました。お姉さんがお店を出すようになった経緯を聞いたり、私の将来の夢を聞いてもらったり。他のお客さんのいない午後ののんびりした時間に時々おしゃべりを楽しんで、その後はお姉さんが厨房で果物を煮る音を聞きながら、テーブルでパソコンをタタタと打って勉強していました。

 

おやつ名人のお姉さんが作る焼き菓子やケーキを思い出します。柚子のスコーン、クランベリーとホワイトチョコのスコーン、ビスコッティ、きなこのほろほろクッキー、白桃とチョコのロールケーキ、リンゴのタルト、金柑とチョコのタルト、グレープフルーツのタルト。パフェには手作りのクッキーやスパイスの効いたブラウニーがトッピングされていました。

 

クリスマスや誕生日にはそのお店でケーキを頼みました。受け取りに行くと、イチゴとブルーベリーをたくさんのせたケーキが出てきます。お姉さんは白い箱をいつも違うラッピングペーパーとリボンで飾って渡してくれました。

 

引っ越す直前の誕生日のケーキを頼んだ時には箱にお姉さんからのメッセージカードがついていました。新生活の幸運を願ってくれた内容でした。心のこもった言葉が嬉しくて、そのカードは今でもお守り代わりにサイフに入れています。

 

そんなもろもろの全てを、いつもお店で飲んでいたこの紅茶の香りで思い出しました。味覚が蘇らせる記憶の、なんと温かなこと。

母親休暇

自分でもまさか、と思うのですが、「子どもが可愛すぎて離れたくない病」を発症してしまいました。産前は「家族に預けてガンガン好きなことしたるわ」と思っていたのに、知り合いに「生まれたら大事すぎて預けたくなくなるかもよ」と言われても「いやいや自分の時間は大事っしょ」と豪語していたのに、まさかのこの結果。子どもの存在はかくまでにひとの行動規範を変えるものなのですね。

 

それでほとんどの時間を娘とともに過ごしているのですが、時折「あれ? 私ちょっと疲れてる?」と思うときがあります。あれ? 泣き声がいつもより大変に感じるなんて、ちょっと心の余裕を失ってる? あれ? なんで?

 

これね、なんだかとっても不思議なのです。子どもは可愛い。こんなに可愛いのに、ずっと一緒にいたいなと思うのに、本当にずっと一緒にいると自分の中の何かが痩せ細る気がするのです。アンビバレンツというかパラドキシカルというか。なんだか自分の中で納得が行きません。

 

どうも解せない、と身内に相談してみると、そりゃいくら好きでもずっとはしんどいでしょ、という答えが返ってきました。「自分は海外ドラマの『フレンズ』が大好きだけど、72時間ぶっ通しで観続けたらさすがに辛くなると思う。144回も主題歌の“I'll be there for you”を聴かされたらGO AWAY!って気分になるわ」会話の端々に劇中のセリフを散りばめてくるフレンズマニアが言うと妙に説得力がありました。確かに144回もあの曲を聞かされたら発狂するかもしれない。

 

そういうわけで、これからはできる限り週に一回子どもを預けて一人の時間を持とうということになりました。30余年生きて培った自分の時間はやっぱりゼロにはできません。娘と離れるのはとても寂しいけど、たぶん一人の時間があった方が私はいい母親になれる。

 

一人の時間に何をするかというとバレエを再開しようと思います。今日先生にご挨拶に行きました。シューズとウェアを引っ張り出して、通うのが楽しみだなぁ。

マイペース宣言

地域の子育てサロンというものに行ってきました。

 

サロンって何だろと思ったのですが、どうやら育児中の女性が集まる交流会のようです。子どもたちを遊ばせながら(小さい赤ちゃんたちは寝っ転がってるだけですが)、お母さんたちがおしゃべりをします。孤独な育児を避けるためにと自治体が主催するケースが多いようです。

 

で、行ってみた感想なんですが…。同じ時期に生まれた子を持つ人たちと話せて色々情報交換できたことは良かったです。やっぱり夕方に泣きますよね!とか語り合えました。ただ、性格的な問題か、私は気を使って疲れてしまいました。どっちかというと、子どもを連れて、ぶらり図書館やデパートに行く方が気分転換になるかな。マイペースばんざい!!

 

ママ友いっぱいの賑やか育児は期待しないでね、と指しゃぶり中の娘に言っておきました。その代わり、一緒に楽しい絵本をたくさん読もう。特に『ほげちゃん』と『じごくのそうべえ』はマスト。

 

 

英語は続く

ジェニファー・ワイナーの初エッセイ集が先週世に出ました。本を読む時間はなさそうなのでオーディオブックを購入。これがなんと、read by the authorバージョンなのです。著者肉声でエッセイを聴けるとは、驚異の時代ですね。基本的にはアナウンサーのように分かりやすい英語を喋る人なのですが、話がのってくると突如スピードアップ。肉声の醍醐味です。日本人の私はその勢いに置いていかれないよう、必死に耳をそばだてています。ジェットコースターから振り落とされないようしがみつく子どものように。

 

英語といえば、在英台湾人の友達が一時帰国ついでに遊びに来てくれることになりました。10年ぶりの再会なので積もる話もたっぷりなのですが、しばらく英語を話す機会のなかった自分の舌が用をなすのか不安でもあります。1ヶ月かけて口慣らしをしようと英会話CDを引っ張りだしました。娘の昼寝を虎視眈々と狙います。

見上げてみれば

子どもを連れて近くの公園まで散歩に行きました。

 

抱っこひもの中の娘に花を見せたり鳩を見せたりしたあとで、木陰のベンチで休憩。膝に寝かせてしばらくぼんやりしていました。すると娘がじーっと飽きずに上を見つめています。何があるのかな、と私も真似して見上げてみると、青空を背景に繊細な広がりをみせる木の枝と、寄り集まって生える葉の隙間から注ぐ秋の木漏れ日が見えました。

 

出産を待つ間、子どもが生まれたら、この世の綺麗なもの、美しいものをたくさん見せてあげようと思っていました。でもおそらく、子どもを育てるということは、以前考えていたような一方的な働き掛けではないのでしょう。私が娘に与えるのと同じように、娘が私に与えてくれるものがきっと沢山あるのだろうと、今になって思います。

 

散歩を終えて帰宅して、子どもはくうくうと息を漏らしながら昼寝に入りました。時折寝ぼけてひーんと泣いたり、目を閉じたまま突然ニヤッと笑ったり。つくづく不思議な未知の存在です。

ヒキガエルさん、自然の力を垣間見る

娘が生まれて2ヶ月半が経ちました。

 

世話をしていて驚かされるのが、成長するという行為の美しさです。生まれたての時はひたすら寝ているだけだったのに、徐々に何かを求めて泣くようになり、気に入らないことがあれば怒ることを覚え、お腹が空いたら口をパクパクさせてアピールすることを学び…。そしてとうとう、先週からニッコリ笑うようになりました。朝の機嫌のいい時間帯に鼻をつんつん指で撫でると、にぱにぱと笑顔を見せてくれます。今日は絵本のダルマを見て、声を上げて笑っていました。昨日までは無表情でじっと眺めるだけだったのに。昨日と今日の間に、彼女の中で何が起こったのでしょう。見えないところで神経回路がぐんぐん発達しているようです。

 

子どもの成長を眺めていると、この世には本当に神さまみたいなものがいるんだろうなーという気になります。神の見えざる手、というのは経済学の用語ですが、子どもの発達においては本当に神秘的な自然の摂理が働いているのを感じます。美しいプログラムです。

 

あまりに興味深いので、筆不精の私が日記をつけるようになりました。日々できるようになったことを記録しています。目下のところ娘が練習しているのは指しゃぶり。うまく口に入れられないようでイライラして泣いていました。「指しゃぶり成功」と日記に書き入れるのは一体何日後のことでしょうか。まさに神のみぞ知る、です。