自然との闘い

土いじりは楽しいな。

 

実は名古屋から電車で一時間ほどのところに伯母が住んでいて、引越し以来何度か遊びに行っています。

 

伯母の家があるのは、山と川に囲まれた自然たっぷりの土地。どれくらい自然に恵まれているかというと、シカが出てくるくらいだそうです。その地で伯母は近所に畑を借りて、趣味で野菜を作っています。

 

わたしもお手伝いしようと、遊びに行くと水やりをしたり雑草を抜いたりしているのですが、これがなかなか楽しい。田舎生まれの血が騒ぎます。久しぶりに触る土の感触は、思ったよりしっとりとしていて柔らかく、いい匂いがします。雑草むしりをしていると、空のどこかから野鳥の声が「オヨヨヨヨヨー」と聞こえてきます。なかなかふざけてる。

 

土いじりにあたっては、大きな不安がありました。それはナメクジ。多くのひとは茶色の平べったい昆虫を忌み嫌うようですが、わたしにとってそれにあたるのがナメなのです。ナメは本当に怖い。見つけたら不随意の反応でギャーと叫ぶくらい嫌です。梅雨の時期はいつも憂鬱。奴らの何が怖いって、足がないのが怖い。幽霊だって足がないから怖いんだ。生き物としての体裁を整えてから出直せよ。

 

そういう危険性を孕みつつも、畑の面白さに我をわすれてはしゃいでいたときのことです。伯母の育てたジャガイモを収穫して持って帰っていいと言われ、テンションマックスで土の中を掘り返していました。「皮をむかずに醤油と水でちょっと煮て、仕上げに水気を飛ばしてバターを絡めたらおいしいよねー」と頭の中でレシピを確認しつつ、戦利品にふと目をやると、わたしの大事な食材にナメがナメってるではありませんか。

 

それを見て、怖いと思うより先になんだか猛然と腹が立ってきました。わたしが汗水たらして収穫(だけ)したのに、なんでお前らが横取りするわけ?いったい何の権利があって水を差すわけ?それで勝ったと思った?叫んでジャガイモ放り出すとでも?

 

そこでわたしは生まれてはじめての行動に出ました。軍手をはめた左手を決然と差し出し(左利き)、不当占有の犯人を払い除けました。自分の意志でナメに接触するのは初経験です。ナメは「すみませんでした」とばかりにどこかへ消えていきました。意外と話の分かる奴でした。

 

こうしてわたしは生まれてはじめて、奴らとの闘いに勝ったわけです。またひとつハードルを超えてしまいました。どこまでも成長する自分が眩しくも恐ろしいほどです。だって新ジャガだったからね。