いずれか、いずれにせよ

 

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「愛がすべてを変えてくれたらいいのに」

 

どこにも行けない“愛"に果敢に挑戦するふたりの、とても“スペシャル"なラブストーリー。


【ストーリー】
モントリオール在住の国語教師ロランスは恋人のフレッドに「これまでの自分は偽りだった。女になりたい。」と打ち明ける。
それを聞いたフレッドは、ロランスを厳しく非難するも、彼の最大の理解者であろうと決意する。
あらゆる反対を押し切り、自分たちの迷いさえもふり切って、周囲の偏見や社会の拒否反応の中で、ふたりはお互いにとっての“スペシャル"であり続けることができるのか・・・?
10年にわたる、強く美しく切ない愛を描いたラブ・ストーリー

amazonより ※画像は配給会社公式サイトから)

 

 

タイミングよく映画館で観れました。例のドラン監督の傑作(らしい)。

上映時間が3時間だったので途中で寝る気満々で席に着きましたが、気がつけばマバタキすら忘れ、口を開けてスクリーンに見入っていました。感想を書こうと思うのですが、ストーリーをばらされたくないひとはご注意ください。ちょっとしか書かないけどね。

 

あらすじにもある通り、トランスセクシュアルがテーマの物語です。主人公のロランスは性別は男性なのですが、アイデンティティは女性。そして恋人のフレッドは女性。異性愛のような同性愛のような不思議なシチュエーションです。

 

「自分に正直でありたい」と女性の服装で職場にも行くロランス。見た目は完全に男性なので(しかも体格がいい)、スカート姿と濃いめのメイクが滑稽に映るかも知れませんが、二人で真剣に悩む様を見れば誰が異端と笑い飛ばせましょうか。彼氏を応援しようと、複雑な心情を抑えて女性用のウィッグまで買ってくる彼女が涙ぐましい。そして、欲しくもないそのウィッグを、彼女の優しさに応えるためだけにかぶる彼氏が切ない。

 

女性の服を着始めた当初は「革命」が首尾よく進行しているように見えましたが、少しずつ綻びが出始め、やがてロランスは社会から排斥されていきます。そしてフレッドの方も、葛藤の果てに徐々に精神の安定を失っていくのですが…。

 

レストランでウェイトレスに好奇心丸出しであれこれ詮索されるシーン。ロランスは大人の対応でかわそうとしますが、そこでフレッドがバーン!と切れます。「彼氏にカツラを買うときの心境、あんたにわかる!? 彼氏がどっかで殴られてるんじゃないかって不安な気持ち、あんたにわかる!?」

 

その凄みを前にして、おそらく観客全員が心の中で、ごめん、とつぶやいたと思います。ごめん、わかってないと思う。ごめん…。

 

好きなシーンをあげとくと、二人がカフェで別れ話をするところ。傷ついたロランスがフレッドを置いて店を出るのですが、そこが意味が分からないほどかっこいいのです。「お会計を」って店員さんに言ってるだけなんだけど、それが異様に芸術的。なにか大いなるものを垣間見れそうなくらい綺麗なのです。お勘定という行為がアートになれるとは思ってもみませんでした。きっとこの感想を読んでも何言ってるか分からないでしょう。わたしも読み返して「何書いてるんだ?」と自分でも分からなくなってしまいました。とにかくこのシーンぜひ観てください。個人的には向こう10年は網膜に焼きついて消えそうにないほどの衝撃でした…。

 

今回も最後に一言つけくわえとくと、ロランス演じたメルヴィル・プポーが大変な美形だということ、そして美形は男装しようが女装しようがやっぱり美形に違いないということです。

 

(原題は"Laurence Anyways"。「どちらにせよ」を意味するanywaysがニクいのです)