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日常/非日常②

タンデュ、アラスゴンド、シャッセ、バットマン、ロン・ド・ジャンブ・ア・テール……。こんなことばにピンと来なかったひとはヒキガエルさんの仲間。

 

バレエ初心者のとまどいポイント、もう一つは専門用語です。フランスで発達した芸術であるがゆえに、使われることばはフランス語ベース。先生がなるべく専門用語に頼らないよう配慮してくれていますがいつまでも分からないままではいけない。現在、用語を覚えようと友だちに教えてもらったりネットで調べたり努力中です。

 

しかしね、どのことばも馴染みがなさすぎて覚えづらいのよ。呪文か? 「アラスゴンド」って聞いた日には、「あ、あの『指輪物語』の登場人物」と思いました。それはアラゴルンでした。別の機会には、先生の「そこでそって!」の掛け声に身体を反らせようと頑張ったヒキガエルさん。正解は「ソッテ(ジャンプするの意)」いつの間にフランス語に切り替わったの? ここはケベック

 

他にも聞き覚えで「スプニューって動きが分かりません!」と質問に行ったら「あれはストゥニュっていうんだよ」と優しく訂正されたことも。チンプンカンプンすぎて笑えます。わたしのレッスンは先生の忍耐と友だちの助力でできている。

 

子どもならこんな呪文でも丸覚えできるのでしょうが、残念ながら大人になってしまったヒキガエルさんにはそんな曲芸不可能。しかし、大人ならではの覚え方もあります。先生が教えてくれたところによれば、「ストゥニュ」は英語のsustain、「エシャッペ」はescapeらしい。な、なるほどー。アンリとヘンリーの対応みたいなものか。元言語学専攻のヒキガエルさん、がぜん燃えてきました!! 用語集を手に入れ、仏日辞典まで引っ張り出して呪文の解読に勤しんでいます。ルティレはretire、シャンジュマンはchangeの仲間……。先生が知ったら「そんな暇あれば腹筋鍛えろよ」って言われるかもしれません。いらんところにエネルギーを費やすのがヒキガエルの習性であります。

 

ちなみにミステリアスな「アラスゴンド」、つづりを見たらa la seconde(二番の位置で)といういたって普通のフレーズでした。覚えやすくていいのですが、呪文の魔力が薄れたようでちょっとさみしい気もします。でも「アラゴルンが分かりません!」って質問するよりはいいか。