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記憶のはなし

19世紀のアイルランド飢饉を描いた小説を読みました。教材として指定されていたからです。そうでなければ、自分では手にとりません。

 

国民800万人のうち、100万人が餓死し100万人が移民として国を離れたという、悲劇のジャガイモ飢饉。当時の描写を読むとゾッとします。短い小説なのに、読後はぐったり。

 

飢饉といえば思い出すのが、ダブリンにあるキルメイナム刑務所。アイルランドの悲しい歴史の証人ともいうべき場所で、現在は博物館として一般公開されています。ジャガイモ飢饉のときには、飢えに苦しむ子どもたちが食料を盗んだかどで大勢投獄された、と説明がありました。1人を収容するスペースに5人を詰め込んだ非常に劣悪な環境だったそうです。しかし外の世界が悲惨すぎて、刑務所に入っていた子どもの死亡率の方がまだマシだったそうな。もう何がなんだか分からないくらいの過酷な時代です。

 

ところで、この大飢饉は20世紀のアイルランド独立戦争のひとつのきっかけにもなったそうです。連合王国政府の輸出政策の不備が飢餓を拡大させた(飢饉の最中に、アイルランドで収穫された食糧がイングランドに輸出されていたという狂気の沙汰)ことが、アイルランド人の連合王国不信を招き、それが後のアイルランド独立につながったとか。前述のキルメイナム刑務所は、独立運動の闘士が政治犯として収容されたことでも非常に有名な場所です。現地で見聞きしたエピソードや監獄、刑場の光景はいまだに脳裏から消えません。

 

そういえば、わたしたちが子どもだった1990年代は北アイルランド問題がかなり紛糾していたように思います。映画『デビル』でブラッド・ピットIRAの活動家を演じていたのが1997年。他にも、『マイケル・コリンズ』『父の祈りを』などアイルランド独立を描いた映画がいくつも公開されていました。

 

そうだあの頃、子ども心に「IRAって活動家って呼ばれたり、テロ集団って呼ばれたり、いったいどっちなの?いいの悪いの?」とぼんやり疑問に思ったものでした。立場によって物の見方が変わる、ということをよく分からずに。そうこうしているうちに、テロリストといえばすっかり別のイメージになってしまいましたが…。